生きるということ
9日の晩、近所を車で走っていると車道上に何やら不思議な物体が。カエルかな?カメかな?いずれにしても、こんな場所をウロウロしていたら、あっという間にクルマに轢かれて死んでしまいます。私はすかさず車を止めて、その物体に近づきました。
なんとその"物体"はスッポンでした。しかもメッチャ元気! (゚Д゚;
天然なのか、養殖のものが逃げ出したのか。このとき私は、生まれて初めてスッポンを生で見たんですけど、普通のカメと違って歩くのがすごく早い、そして体が柔軟なんですね。甲羅も軟骨のような柔らかさです。上の写真の位置を持たないと、首を伸ばして噛み付かれてしまいます。しかも噛む力が異常に強い!!話には聞いていましたが、スッポンは本当に噛み付いたものをそうそう簡単に離してはくれないのです。
ところが、スッポンの観察をしているうちにふと気づきました。
スッポンの口から釣り糸が・・・。
どうやら、どこかで釣り針を飲み込んでしまったようです。おまけに相当深くまで飲み込んでしまっていて、針がどこにあるのかもさっぱりわかりません。ミサさんと二人がかりで、しばらく頑張ってみましたけど、針を外すこともできそうにありません。
本当はこのスッポンは水槽で飼うか、広い所にでも連れて行って逃がそうか、とか考えていたんですけど、こんな状態では餌も食べられないでしょうし、遅かれ早かれ死んでしまうことは目に見えています。それなら、ということで覚悟を決めて出した結論は・・・。
自分達でこのスッポンを食べてしまいましょう!
とりあえず鍋の材料は揃えました。そして調理方法はネットで調べました。しかしやはり懸案は素人にうまく活きたスッポンをさばくことができるのか、ということ。今まで魚をおろしたこともないのに、スッポンなんて・・・。フグと違って毒で死ぬことはないだろうけど、それでも自分ひとりでは心配です。
いつもなら私の傍にいて、頼もしくサポートしてくれる愛妻のミサさんが、今回だけは怯えてしまって頼りになりません。もはや台所には近づこうともせず、尻をこっちに向けてDSの「リズム天国ゴールド」で現実逃避に入ってしまいました。
こんな時に頼りになるのが、もはや20年近い付き合いになる高校時代の親友、ssss!!突然の 「一緒にスッポンをさばかないか?」 という意味のわからない誘いにも快く応じてくれ、我が家に駆けつけてくれました。
しかも彼、ほとんど自炊もした経験がなくてこれが初の調理経験になるとか。こんな初体験、ある意味貴重すぎる!?ともかく、心強いパートナーを得て、いよいよスッポン料理にチャレンジです。
それにしても、この2人の後姿・・・仲良しすぎませんか!?(汗)(Photo By ミサ)
とりあえず一番最初の難関は、スッポンの首をすばやく確実に捕まえて根元から切り落とすこと。これは技術よりも、気持ちの問題のほうが大きいですね。今、ここで生きている動物の首を包丁で切り落とす、ということには相当の覚悟が必要でした(少なくとも自分達には)
<このへんの画像は自粛>
ホームページでの解説を参考にしつつ解体を試みるも、なかなか思うように包丁が入らず、2人で格闘すること1時間以上。こんなに手こずるとは正直思っていませんでした。そうそう、体のずいぶん奥から「釣り針」も出てきましたよ。こんなに奥に入っていたんなら、どう頑張っても外せなかっただろうな・・・。
それでも素人仕事ながら何とかそれらしい形になり、あとは生姜と酒でスープを仕込みます。1時間ほど煮込んだ頃に、白菜やキノコなどの食材を鍋に入れていきます。味付けは塩としょうゆのみ。いったいどんな味になるのでしょうか!?そうこうしている間に、用事を済ませてpanchanさんも駆けつけてくれました。いよいよお待ちかね(?)の試食タイムです。
髭男爵っぽく、ssssと「かんぱ~い♪」でもこれ、ワインじゃなくて生き血の焼酎割りです。焼酎の分量が多かったこともあってか、特に臭みもなくて普通に焼酎の味。けど見た目のインパクトがやっぱり強烈ですね(^_^;
そして肝心の鍋の方ですが、これがまた美味しいこと!!味付けは酒と塩としょうゆだけなのに、こんなに深い味わいになるとは!?海原雄山先生もビックリですよ。そしてエンペラなどのゼラチン質の触感もまたコラーゲンたっぷり感があって・・・。素人料理の鍋でこれだけ旨いのですから、専門店で食べたらさらに素晴らしい味なのでしょうね~。
そして食べるのに夢中で写真を撮り忘れたんですけど、残ったスープにご飯と卵を入れて作った雑炊がまた絶品でした。鍋を食べた後の雑炊って定番ですけど、正直こんなに美味しい雑炊は初めてかもしれません。
人間は、他の生き物の命を奪って食べなければ生きていけない、ということは頭で判ってはいることですけど、普段はあまり気にしないものですよね。今回、こうして「生きた動物」をさばいて料理することで、それを改めて認識することができたような気がします。そういう意味ではとても貴重な体験をできたな、と思います。
そして・・・初の料理体験がスッポン料理のssss君。この大変さに比べたら、他の料理なんてチョロイもんです。これからも頑張ってね!!(笑)